【信長の野望】舞台とミュージカルで楽しむ、武将たちのもう一つの戦国
戦国の大名たちが、もし別の選択をしたら。コーエーテクモゲームスの『信長の野望』は、天下を目指す武将たちの世界を、舞台やミュージカルにも広げてきました。
徳山秀典さんが信長を演じる生演奏ミュージカル『信長の野望-炎舞-』と、鶏冠井孝介さんを中心に武将たちの異なる視点を描く舞台『信長の野望・大志』。同じ原作シリーズから生まれた作品でも、音楽の楽しみ方や物語の組み立てが異なります。公演の歩みと配役を知ると、自分の気になる「戦国」を探しやすくなります。
『炎舞』と『大志』――二つの舞台化の違い
『信長の野望』は、戦国大名として天下統一を目指す歴史シミュレーションゲームのシリーズです。第1作は1983年に発売されました。コーエーテクモゲームスによるシリーズ紹介
舞台化作品を探すときは、まず公演名の副題に注目してみてください。『炎舞』と『大志』は、それぞれの制作陣による異なる作品です。
| 作品 | 信長役と制作陣・楽しみ方 |
|---|---|
| 生演奏ミュージカル『信長の野望-炎舞-』 | 信長役は徳山秀典。2020年再演の脚本・演出は栗原彰文、音楽は印南俊太朗。歌と生演奏で武将たちの物語を描く |
| 舞台『信長の野望・大志』 | 信長役は鶏冠井孝介。脚本・演出は久保田唱。同じ出来事を異なる勢力や人物の視点から描くWサイドストーリーが特徴 |
『大志』は、2017年発売の同名ゲームをもとにした舞台シリーズです。両作品の「信長役」や制作陣を混ぜずに見ると、同じ人物の表現の違いも楽しめます。『炎舞』制作発表/『大志』第1弾の公式サイト
生演奏ミュージカル『信長の野望-炎舞-』の歩み
2017年の初演と、2020年の再演
『炎舞』は剣舞プロジェクトによる生演奏ミュージカルです。2017年の初演を経て、2020年に光が丘IMAホールで再演されました。信長役の徳山秀典さんは、初演から続けて出演しています。
| 公演 | 期間 | 会場 |
|---|---|---|
| 初演 | 2017年12月20日〜24日 | シアター1010 |
| 再演 | 2020年1月18日〜22日 | 光が丘IMAホール |
いずれも終了した公演の記録です。初演の日程はシアター1010の公演記録、再演の概要は制作側の発表に掲載されています。

信長の生涯と、本能寺に重なるもう一つの意思
物語は16世紀の尾張から始まります。内乱の続く小国に生まれた信長が勢力を広げていく一方、やがて本能寺で明智光秀に背かれる運命の日が訪れます。制作側のあらすじは、その場に歴史では知られていない意思が入り込むことを示しています。
史実で結末を知っている人物の物語に、どのような創作が加わるのか。歌や生演奏が、その人物の決意や迷いをどう表すのかが、作品を知るときの注目点です。ここでの紹介は、制作側が公表したあらすじをもとにした要約です。
2020年の再演では、徳山秀典さんのほか、鷲尾修斗さん、小泉萌香さん、田野優花さんらが出演。一部の役はA・Bのダブルキャストで上演されました。詳しい出演者一覧は再演の公演発表に載っています。
舞台『信長の野望・大志』を公演順にたどる
『大志』では、現代の記憶を持つ信長と、本来の歴史を知る武将たちが戦国を生きます。歴史上の出来事を下敷きに、史実とは異なる選択や勢力関係が描かれる物語です。
まずは次の公演順を目安にすると、人物関係の積み重ねを追いやすくなります。表は主な公演日程の記録で、現在のチケット案内ではありません。
| 順番・公演 | 主な公演日程・会場 | 物語を見る視点 |
|---|---|---|
| 第1弾『-春の陣- 天下布武 ~金泥の首編~』 | 2018年5月17日〜27日/CBGKシブゲキ!! | SIDE織田・SIDE浅井 |
| 第2弾『-冬の陣- 王道執行 ~騎虎の白塩編~』 | 2018年11月8日〜12日/シアター1010 | SIDE織田・徳川/SIDE武田・上杉 |
| 第3弾『夢幻 ~本能寺の変~』 | 東京公演:2019年5月21日〜26日/シアター1010 | SIDE織田・SIDE明智 |
| 第4弾『-零- 桶狭間前夜 ~兄弟相克編~』 | 東京:2019年11月14日〜20日/かめありリリオホール。名古屋:11月23日/名古屋特殊陶業市民会館 ビレッジホール | SIDE織田信長・SIDE織田信行 |
| 第5弾『~最終章~ 群雄割拠 関ヶ原』 | 2021年7月23日開幕/かめありリリオホール。7月29日までの予定だったが、26日以降の6公演は中止 | SIDE織田 紅血・SIDE明智 紫炎 |
第1弾はGAMECITYの当時の公演案内、第2弾は日活の製作発表会レポート、第3弾の東京日程はシアター1010で確認できます。第4弾は公演発表、第5弾は公式サイトと公演中止のお知らせに基づきます。
Wサイドストーリーは、人物の立場を変えて見る仕組み
たとえば『春の陣』には織田側と浅井側、『夢幻』には織田側と明智側の物語があります。同じ出来事でも、中心にいる人物が変われば、見えてくる事情や思いも変わります。
『大志』を映像や公演資料で探す際も、副題に加えて「SIDE」の表示が目印です。一つの視点で気になった人物を、もう一方の視点から見直せるのが、この舞台シリーズの特徴です。『春の陣』公式の作品紹介/『夢幻』の公演紹介
『-零-』――信長・信行兄弟と、家族の対立
第4弾の『-零-』は、それまでに描かれた本能寺の時期から、桶狭間前夜へと時を戻します。焦点となるのは信長と弟・信行。兄弟のどちら側から見るかによって、対立の内側をたどる作品です。
2019年の公演では、兄弟に加え、お市、吉乃、帰蝶、弥、謎の女性・霞らにも物語がありました。主要な配役と、当時の出演者の発言で示された立場を整理します。
| 役名 | 出演者 | 作品内での立場 |
|---|---|---|
| 織田信長 | 鶏冠井孝介 | 信行と対立する兄 |
| 織田信行 | 沖野晃司 | 信長と対立する弟 |
| お市 | 田中れいな | 信長と信行の妹。幼い時期の姿も描かれる |
| 今井宗久 | 彦摩呂 | 商人。今回の物語では茶室の外でも動く |
| 吉乃 | 秋本帆華(TEAM SHACHI) | 信長の側室 |
| 弥(あまね) | 咲良菜緒(TEAM SHACHI) | 信行の正室 |
| 帰蝶 | 大黒柚姫(TEAM SHACHI) | 信長の正室 |
| 霞(かすみ) | 坂本遥奈(TEAM SHACHI) | 謎の女性。殺陣のある役 |

出演者による開幕時の発言には、兄弟の争いに加え、妻たちの関係や幼いお市を演じる工夫も紹介されています。上の表はその発表をもとにした作品内の説明で、史実上の人物関係を確定する資料ではありません。制作側の開幕レポート/『-零-』公式の配役
最終章『群雄割拠 関ヶ原』――2020年の中止と2021年の上演
本能寺を越えた武将たちが関ヶ原へ
最終章では、本能寺を生き延びた信長や、爆発に巻き込まれたはずの光秀らが関ヶ原に集います。信長を中心にした「SIDE織田 紅血」と、光秀の思いに迫る「SIDE明智 紫炎」が用意されました。
歴史上の関ヶ原の戦いをそのまま再現する作品ではありません。現代の記憶を持つ信長と、本来の歴史を知る武将たちに、史実では実現しなかった顔合わせが重なる、このシリーズならではの戦国として楽しめます。公式の物語紹介
当初は2020年6月4日〜9日にシアター1010で上演予定でしたが、この公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演中止となりました。その後、会場をかめありリリオホールへ移して、2021年7月23日に開幕しています。ただし、2021年も7月26日〜29日の6公演は中止となっています。2020年の劇場側の中止案内/2021年の開幕発表/2021年の一部中止案内

最終章の配役――2020年の発表と2021年を区別する
過去の発表や映像を見比べるときは、公演年にも注目してみてください。次の表の2020年欄は、中止になった公演の発表時点の配役です。実際に上演されたという意味ではありません。「—」は、2020年の出演発表に記載がない役を示します。
| 役名 | 2020年の出演発表 | 2021年の配役 |
|---|---|---|
| 織田信長 | 鶏冠井孝介 | 鶏冠井孝介 |
| お市 | 田中れいな | 田中れいな |
| 茶々 | 早乙女わかば | 早乙女わかば |
| 上杉謙信 | 根本正勝 | 根本正勝 |
| 前田慶次郎 | 友常勇気 | 友常勇気 |
| 浅井長政/重政 | 小西成弥 | 釣本南 |
| 柴田勝家 | 鵜飼主水 | 鵜飼主水 |
| 丹羽長秀 | 中村ヒロユキ | 中村ヒロユキ |
| 豊臣秀吉 | 後藤健流 | 後藤健流 |
| ねね | 斉藤レイ | 斉藤レイ |
| 石田三成 | 影山達也 | 尾崎尉二 |
| 黒田官兵衛 | 山田ジェームス武 | 幸村吉也 |
| 島津義弘 | 杉江優篤 | 杉江優篤 |
| 徳川家康 | — | 輝山立 |
| 井伊直虎 | 緒月遠麻 | 緒月遠麻 |
| 石川数正 | 坂垣怜次 | 坂垣怜次 |
| 本多忠勝 | 白柏寿大 | 白柏寿大 |
| 井伊直政 | — | 松村優 |
| 佐竹義重 | — | 笠原織人 |
| 織田信行 | 沖野晃司 | 沖野晃司 |
| 池田恒興 | 松本慎也 | 松本慎也 |
| 林通具 | 黒貴 | 黒木文貴 |
| 松永久秀 | 南翔太 | 南翔太 |
| 霞 | 坂本遥奈 | 坂本遥奈 |
| 真田幸村 | 塩田康平 | 松島勇之介 |
| 伊達政宗 | 横尾瑠尉 | 横尾瑠尉 |
| 愛姫 | 内木志 | 内木志 |
| 今井宗久 | 彦摩呂 | 彦摩呂 |
| お橋 | 笹木香利 | 内藤好美 |
| お焦々 | 荒澤守 | 荒澤守 |
| 本願寺顕如 | 吉田宗洋 | 吉田宗洋 |
| 足利義昭 | 加藤凛太郎 | 加藤凛太郎 |
| 明智光秀 | 谷佳樹 | 谷佳樹 |
配役の出典は、2020年が当時の出演発表、2021年が舞台公式の出演欄と開幕時の発表です。氏名の表記は、それぞれの発表に合わせています。
発表資料から見る、作品を楽しむポイント
歌と生演奏で人物の思いを味わう
『炎舞』では、台詞だけでなく歌や演奏を通して武将たちの物語に触れられます。『大志』と見比べるときは、同じ信長という人物を、どんな音楽、声、間合いで見せているかにも目を向けられます。
信長の周りにいる人から物語を読む
『大志』は信長だけを追う物語ではなく、浅井、武田・上杉、明智、信行らの立場にも視点を置いています。それぞれの人物が何を望むのかを考えると、Wサイドストーリーの仕組みを楽しめます。
史実を知ったうえで「もしも」を楽しむ
本能寺や関ヶ原という地名を知っていても、ここで描かれる展開は歴史資料の再現とは異なります。史実と同じ点を探すだけでなく、どこで選択が変わり、人物関係が動くのかを見るのも、ゲームから生まれた舞台の楽しみ方です。
映像で振り返るときは、公演名とSIDEが目印
『大志』はDVDにもなっています。日活の発売資料には、『春の陣』の「SIDE織田」「SIDE浅井」を収めた豪華版DVD-BOXが紹介されています。最終章にも、「SIDE織田 紅血」「SIDE明智 紫炎」と特典ディスクを組み合わせたDVD-BOXが企画されました。『春の陣』の収録内容/最終章のDVD発売資料
最終章の本編は、2021年7月23日と24日の公演映像によるものです。2020年の中止公演を収録した映像ではありません。発売資料は当時の受注案内なので、DVDを探す際は、公演年・収録されたSIDE・本編と特典の内訳を目印に選ぶと、見たい物語を取り違えずに済みます。
出演者から広げる、近年の信長ミュージカル
『炎舞』に出演した徳山秀典さん、小泉萌香さんの近年の作品には、H.I.J stageによる『ミュージカル信長』もあります。ここでは『信長の野望』原作作品の公演一覧とは分け、同じ出演者から探せる関連公演として挙げます。
| 作品 | 公式掲載の日程・会場 |
|---|---|
| ミュージカル信長〜朧本能寺〜 | 2025年6月12日〜16日/光が丘IMAホール |
| ミュージカル信長〜朧炎ノ刻〜 | 2026年9月17日〜21日/シアター1010 |
両公演とも日程は終了しています。信長役は徳山秀典さん、帰蝶役は小泉萌香さん。脚本はH.I.J stage、音楽は印南俊太朗さんと発表されています。詳しい配役や制作陣は、2025年の公式公演ページと2026年の公式公演ページに掲載されています。
髪形や、別の作品の信長にも目を向ける
舞台の人物を見るうちに、髷やかつらの形が気になることもあります。江戸の髪形を中心とした読み物ですが、髷・月代と床山の豆知識では、時代劇の髪形や、それを整える仕事を紹介しています。
桶狭間を別の映像作品で見たい方には、ドラマ『桶狭間〜織田信長 覇王の誕生〜』もあります。舞台『-零-』と同じ作品ではなく、若き信長が大軍を迎え撃つ決断と、家族の関係を描く単発ドラマです。
ゲームから生まれた別の舞台を探すなら、『イケメン源氏伝 あやかし恋えにし ~義経ノ章~』へ。こちらは、鎌倉の源氏兄弟とあやかしの争いに、義経と由乃が関わる作品です。
まとめ――同じ信長から、違う戦国が見えてくる
『信長の野望』の舞台化には、生演奏と歌で人物を描く『炎舞』、異なる人物の視点を重ねる『大志』という楽しみがあります。『大志』は公演順とSIDE、『炎舞』は初演と再演を手がかりにすると、それぞれの歩みをたどれます。
歴史で名前を知っている武将も、舞台で誰が演じ、誰の立場から描かれるかによって印象が変わります。気になる人物や音楽から、もう一つの戦国の物語に触れてみてください。

