【豆知識】江戸時代の保存食とは?食の知恵と現代の備え
時代劇の食事や旅支度を見ると、「冷蔵庫がない江戸時代には、食べ物をどう保存したのだろう」と気になるかもしれません。画面の食卓は演出も含むため、特定の作品の描写をそのまま史実とは言えません。実際の食文化を知る手がかりとして、味噌、漬物、干物などを見ていきましょう。
江戸時代の保存食には何があった?
冷蔵設備がない時代には、食材を塩に漬ける、乾燥させる、発酵を利用するといった加工が行われました。保存のための加工は、食材を日々の食事に生かすことにもつながります。ただし、同じ「保存食」でも材料や製法は異なり、どれも同じ期間保存できたわけではありません。
味噌と漬物
農林水産省の伝統食資料によると、味噌は江戸時代に消費が増え、さまざまな味噌料理が生まれました。漬物も江戸時代には店で扱われ、漬け方を記した書物が発行されています。漬物には塩漬けを基本とするもののほか、発酵を伴うもの、短い期間漬けて食べるものなどがあります。「漬物なら必ず長期保存できる」とは考えられません。
魚の干物と乾物
魚介類は乾燥させて水分を減らすことで、変質を抑える加工が行われました。農林水産省の資料は、江戸時代に各地の干物がつくられ、日常の食にも広がったと説明しています。野菜などの乾物もありますが、「干した食品はすべて常温で安全」とは言えません。製品ごとの保存条件を確かめることが大切です。
地域や時期で違う食の工夫
江戸時代は長く、都市と農村、寒い地域と暖かい地域では、手に入る食材や加工のしかたが同じではありません。農林水産省によると、1814年の『甲斐国誌』には、鳴沢村の産物として「菘(つけな)」が記録されています。同省は、鳴沢菜を漬物にしたり、葉を寒風に干したりする利用も紹介しています。地域の気候と食材に合わせた一例です。
旅の食事についても、ひとつの携帯食を江戸時代の誰もが持ち歩いたとは言えません。時代劇で見かけた食べ物に興味を持ったら、作品の舞台となる時期や地域の資料と照らすと、暮らしの違いが見えてきます。
昔の保存食と現代の非常食はどう違う?
江戸時代の加工食品は、日々の食事の中で食材を使う工夫と結びついていました。現代の非常食は、災害時に食べる状況や、包装、表示された保存方法を踏まえて選びます。昔の製法を家庭でまねれば、現代でも安全に長期保存できるという意味ではありません。
市販食品の消費期限・賞味期限は、未開封で表示どおりに保存した場合を前提にしています。開封後は期限内でも安全性や品質が保たれるとは限りません。乾燥品や漬物も、購入した製品の表示に従って保管しましょう。家庭で調理する際は、手洗いや適切な温度管理など、現在の食中毒予防の基本を守る必要があります。
現代の備えを考える入口
農林水産省は、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べて買い足す「ローリングストック」を紹介しています。食べ慣れているか、調理に水や熱源が必要か、家族にアレルギーなど食事上の配慮が必要かも確認しておくと、備えを考えやすくなります。
現代の食品備蓄の選び方を知りたい方は、関連記事「非常食の選び方|長期保存食品と家庭備蓄の基本」も参考にしてください。
まとめ
味噌、漬物、干物などは、江戸時代の食を考える具体的な例です。製法や利用は地域・時期によって異なり、保存できる期間も一律ではありません。時代劇を入口に当時の食文化を知り、現代の備蓄では食品表示と衛生管理を確かめましょう。
